グローバルなMHMの動きや他国でのローカルな月経対処および月経教育の実践についての知見を基盤として、日本における包括的な月経教育の在り方を検討する研究を行っています。
科研「現代日本の文脈に即した月経に関する教育の在り方の検討」のメンバーの一人である新本は、2023年9月、パプアニューギニア東セピック州マプリク地区で避妊に関する調査を行いました。月経をコントロールすることによって避妊を行うことができるので、月経に関する調査の一環として実施しました。
マプリク地区病院(Maprik District Hospital)の母子保健病棟では、毎週月曜日に家族計画、火曜日と木曜日に妊婦検診(初診の場合は木曜日、二度目以降は火曜日に受診する)、水曜日に乳幼児健診を実施しています。医療的な避妊の手段が「家族計画」として紹介されるので、私は月曜日に病院を訪問して見学させていただきました。
母子保健病棟の廊下には、たくさんの女性が集まっていました。看護師がクリニックブックを女性たちから集め、集めたクリニックブックをもとに女性たちを一人一人診察室に呼んで診察していきました。「家族計画」は、看護師によるクリニックブックの記載の確認、体重と血圧の測定、各人の状態に合わせた問診(「出産後はじめての月経は来たのか?」「何人の子どもがいるのか?」など)、避妊方法の希望の聞き取りという順番で進められました。初診の女性には、低用量ピル、デポ・プロベラ薬の注射、皮下インプラントが説明されました。避妊方法を選択した女性は、となりのブースに移動して処方を受けます。男性が来院した場合にはコンドームも選択肢として提示するとのことでしたが、私の訪問中、来院者は女性ばかりでした。
「家族計画」というからには、「将来の生活を考えて何人の子どもが理想ですか?」というような啓発的な問いから始まるのだと思っていた。ところがそうではなく、「ピル、注射、インプラント、あなたはどの方法がいいですか?」と即物的な問いから始まり、ちょっと驚いた。
ピル、注射、インプラント、どれもパプアニューギニアでは入手が簡単。入手の難しい日本とは、月経に対する意識も異なるのだろう。
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